青木先生のうた

青木先生は、小学校の図工の先生でした。
小学2年生の頃でしょうか。授業で、山の絵を描いていて、調子に乗った私は、ピンクや白や黄色といったカラフルな色で山の斜面を塗りたくったのです。それを見て、青木先生は、「そうだね、山はいろんな色を持ってる」と認めてくださったのです。
山は緑が普通ですが、普通じゃない色を塗ったのに褒めてくれたのがいつまでも心に残りました。子ども心にもカッコいい青木先生が大好きでした。
そしてこの歌を発表した後に、「私にもそんな先生がいてね」と話してくれた方がいました。こんな何気ない歌が、読んでくださった方の其々の「青木先生」を呼び起こす力があったと知りました。
作品を作る上の喜びは、歌で人の心を動かせること、いいなぁと思ってもらえることではないでしょうか。皆さんの青木先生の話を聞いてみたい、そう思った時から、この歌は大切な一首となりました。

褒められた記憶が
わたしを支えてる
青木先生
あのね、わたし今
本のデザインしてるんだよ
『五行歌秀歌集2 ’06-10』掲載
2015/08/08 初出:こもろ五行歌の会13周年記念歌会

2017/02/22 一部修正